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⑥ 田坂広志著 「死は存在しない」を読んで
 この種の本が陥る典型ふたつ:
 ・最新科学で説明しようとする。
 ・ブラックボックスを許さない。
 を同時に満たしているので、取り上げてみた。
 最新科学のゼロ・ポイント・フィールドで解き明かそうとしているが、最新の科学は数年経つと刷新されてしまう。多くの宗教家が同じ間違いをしてしまうが、著者はご自身でも「科学者」と称しているので、最新科学がどういう変遷をたどるか知らないはずはない、と思うのだが。
 本文でも語っているように、作者は自分自身を
 「ブラックボックス」的な解釈に結びつける説明には、全く納得がいかない人間
 と表記していて、すべてを現在わかっていることだけで説明しようとした。不可逆な時間軸と三次元空間しか知らない人間には想像もつかない現象・存在がこの世界にあるはずで、そこを最新科学で説明しようとするのは無謀だ。そしてブラックボックスをなくすことも不可能。人間には「この世をすべて理解する」ことなどできるはずがない。