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① 動物の本能とは?
 我々は、動物の行動に対して「本能」ということばをよく使うし(学術的な場ではあまり使われないようになったようですが)、その「本能」はDNAに因っていると考えられている。たとえば、
「動物は食べてはいけないものを本能的にわかっている」などと言う。毒になる食べ物を「本能的」に嫌うDNAをもった個体が生きながらえる、と考える。また、ある時は、
「その記憶はDNAに刻み込まれて…」などとも言うが、百歩譲って、記憶が脳のDNAを変えることは可能だとしても、性細胞のDNAまで同時に変えるとは考えにくい。そもそも、個体が直接DNAを変えることは起こり得ないだろうと思う。言語を持たない動物が、世代を越えて知識を共有することは不可能になってしまう。ある食べ物を食べると死んでしまう場合、DNAに刻み込まれたとしても、後世に伝えるすべはない。
 そこに、霊魂という概念を導入すると、「スズランを食べて死んだ」という記憶を魂に刻んでいる鹿は、次に鹿に生まれ変わったときには「スズランは食べない」と説明できて、かなりスッキリする、とは言える。